テレビ放送局の看板イベント実現を支えた
テレビ放送局の看板イベント実現を支えた
現在も拡大を続ける「コロナ禍」の中、teketは新型コロナウイルス感染拡大予防ガイドラインに沿ったイベント開催をサポートするWebサービスとして、大きな注目を集めています。
従来のチケットに関する販売および管理業務が非常に効率的になるという機能提供はそのままに、「ソーシャルディスタンスの確保」「来場者の緊急連作先の収集・管理」そして「イベント中止時のサポート」を、全て追加費用なしでteketは対応しています。
https://teket.jp/static/covid19
コロナ禍以降、否応無しに「そういう対応」をしなければならないという業種の方から問合せをいただくことが多くなったteketは、ここ半年間で会員数が約20倍と急成長を遂げました。首都圏の団体はもちろん、各地方からの問い合わせも増え続ける一方となっています。
その一例として今回は、2020年10月に3万2000人の来場者を迎えた「OAB大感謝祭2020」における新型コロナ感染拡大予防対策の一環として、実際にteketを導入された大分朝日放送株式会社様にお話を伺わせていただきました。
「生き残るために」オンリーワンを目指す地方放送局の取り組みとは
さて皆さんは、大分朝日放送(OAB)という放送局のことをご存知でしょうか。「もっと地元を。JIMOTTO!」というキャッチフレーズを掲げ、地域密着型で活動している大分県域限定のローカル放送局です。
スタッフも150名程度であり、全国の放送局の中でも小さい部類とされる大分朝日放送ですが、実は放送局の中で初めてteketを導入する等の先進的な取り組みを続ける企業でもあります。
代表例として挙げられるのが、まずは民間の放送局で初めて4Kの撮影・編集システムを導入した点。自社制作番組はもちろん、特別番組を制作して販売をしたり、総務省の海外展開事業として海外向け映像を制作したり等、さまざまな活用をしています。
次に、全国でも珍しいオープンスタジオである「ガーデンスタジオ5」の存在。本社社屋に隣接する大きな公園風のこちらのスタジオからは、情報番組やニュース番組などを毎日お届けしています。豊かな四季を感じられると、地元の視聴者にも好評だそうです。
最後に、まるで宇宙船のようなデザインだと話題の「編集センター」「ニュース情報センター」「マスター室」「プレビュールーム」といった本社設備。新卒採用ページにも大きく掲載されていますが、実際に訪社された方は本当にびっくりされるそうです。
これらは全て「オンリーワンを目指している」という大分朝日放送・上野社長のもと、地方放送局が生き残るために何ができるのかを社員全員が考え、独自性のある取り組みを打ち出そうと徹底したことによる成果となります。この社風こそが、企業としての最大の強みと言えるでしょう。
そんな大分朝日放送の主宰する大規模イベントにおいて、新興のwebサービスであるteketはどのような貢献を果たせたのでしょうか。コロナとともにあるという「新しい形」の中、放送局にとって「オンライン化」がもたらす未来と可能性とはどのようなものかという展望のお話とあわせ、じっくりとご覧ください。
感謝の気持ちを、新しい形で伝えるためには、管理システムが不可欠だった
坪西敏典さん (写真:右)
大分朝日放送株式会社
ビジネス統轄本部 ビジネス戦略局 ビジネス戦略部 副部長
広瀬直樹さん(写真:左)
大分朝日放送株式会社
ビジネス統轄本部 ビジネス戦略局 ビジネス戦略部 主任
― 大分朝日放送様がteketを導入された「OAB大感謝祭2020」について、イベントとしての位置付けや詳細を教えていただけないでしょうか。
坪西:まず「OAB大感謝祭」とは、2013年に大分朝日放送が開局20周年を迎えるにあたり、地元の皆様への感謝の気持ちを伝えるイベント・番組をつくろうという想いから始まった取り組みになります。
二日間にわたっての長時間生放送とイベント開催からはじまった感謝祭は、年々規模も大きくなり、大分駅のすぐ近くが会場というアクセスの良さもあって、2018年には来場者が10万人を超える一大イベントへと成長しました。来場は大分県内の方が大半ですが、最近はタレントさんのブッキングに力を入れていることもあり、県外の方も多くいらっしゃるようになりました。
局をあげての一大イベントとなるので、実行委員会的に各部署から担当メンバーが各々選出されますが、主幹となる部署は私たちビジネス戦略部となっています。
― 2018年には来場者10万人超とのことでしたが、2019年の感謝祭はどうだったのでしょうか。
坪西:感謝祭は毎年秋に開催していたのですが、2019年はラグビーW杯があった関係で会場が使えなかったため、もともと(2020年の)3月末での開催予定となっていました。ところが、ご存知のようにコロナ第1波を迎えるかどうかというタイミングだったため、2019年のイベント開催は延期とし、番組放送のみを実施という判断に至りました。
そのため、2020年10月11日・12日開催の「OAB大感謝祭2020」は、私たちにとって、実質2年ぶりのイベント開催となりました。
もちろん多少の落ち着きをみせていた時期だったとはいえ、依然コロナ禍という状況での開催です。各方面での対策の徹底はもちろん、会場規模も小さくし、屋外ステージも実施しないなど例年にない運用となりましたが、それでも結果として3万2000人の方にご来場いただきました。
― teketを導入された理由は、まさにそのコロナ対策の一環としていう点が大きかったと思われますが、導入に至るまでの経緯について教えていただけないでしょうか。
坪西:感謝祭を開催するか否かについて、直前まで社内でずっと検討を続けていました。そして開催が決まった以上は、コロナへの対策と管理には万全を期す必要があります。その中で例年と比べ、特に大きな変更が必要となったのが、ホールイベントの運営でした。
行列という「密」自体を絶対に避けなければならない状況であることに加え、誰が・いつ来場し・どこに座ったか、の管理が不可欠な状況となっています。これを従来の方式でチェックしようとするのは、正直無理がありました。
― なるほど。そこで事前に座席指定のできるチケットの管理システムを導入しよう、となったわけですね。
広瀬:はい。最初は大手のプレイガイドさんを中心に探していたのですが、費用面が大きなネックになりました。感謝祭全体としてもコロナ対策関連で予算が例年以上に拡張している中、システム的なコストをさらに上乗せしていくのは正直難しい状況だったのです。その中で、たまたま検索で見つけたのがteketさんだったんですよ。
サイトを見てみると、オーケストラを中心にコンサートでの導入実績が多く、感染者が出た場合に緊急連絡が取れる仕組みが大変しっかりしている。しかも個人情報というセンシティブな情報を、うちではなくteketさん側で管理していただけるとのこと。
さらに、なんといっても費用が無料! 正直言って、これは大変ありがたかったです(笑)。うちは放送局としては新しいものの導入に対してかなり柔軟な姿勢を持つ一方、費用対効果のところはやはりすごく厳しくチェックするので。
だから導入を社内で上申した際は、それらのメリットに加えバックにドコモさんがいるという信頼感もあったおかげで、あっさり承認されました。現場側としても、問合せに対しいつも非常に丁寧かつ迅速にご対応をいただき、とても安心感がありましたね。
「紙のチケットだったらよかったのに」という点こそが、今後のオンラインサービス発展のヒントに
― ここからは、teketを実際に利用されてのご意見や感想としてお聞かせください。まずはイベント開催前ですが、何か課題のようなものは発生していたのでしょうか。
坪西:うちは全社員にiPadが支給されている会社なので、当日はiPadを活用したチェックインシステムにしようと考えていたのですが、その背面カメラがteketは対応していないということが直前で判明したんですね。だからもう「え、これ間に合うの!?」というドキドキ感、これがとにかくすごかったですよ。(笑)
広瀬:というか、最初はiPad自体にも対応していなかったですよね。iOSには対応していたけどiPadOSに対応していなかったという。だから感謝祭のために、島村さんには都合2回も改修していただいたことになります。
島村:そうでしたね。デフォルトのOSというか、ブラウザ側のほうでデフォルトのものしかカメラが起動しない仕組みになっていたので、それを選べるようにという改修だったと思います。
坪西さんから「これ使えるようになりませんか?」という報告をいただいてから、2,3日間での対応だったと思うのですが、間に合ってよかったです。(笑)
坪西:いや、本当に速い対応で助かりました。新しいシステムを導入する際の最大の不安は、結局「ちゃんと動くのかな」という一点に尽きます。特に今回はぶっつけ本番に近いシステム導入だったため、いつも以上に不安が大きかったのですが、フォローを相当手厚くやっていただけました。本当に島村さんには感謝しています。
― 次に、チケットの電子化によるメリットはいろいろある一方、実際に利用してみて「やはり紙でないと難しいな」と感じた点があれば教えてください。
坪西:一番引っかかったのは、やはり高齢者の方ですね。「去年までハガキで入れとったのに、なんかよくわからんわ!」というお電話をいただくことが多かったです。前回までは招待ハガキを発送し、それをお客さんが持参し、入場時にチェックして、というアナログなやり方だったものですから。管理側の業務負担が減った分、ご来場される方のほうに負担がでてしまったのかな、という気持ちは少しありますね。
広瀬:当日のオペレーションに関しては、実際に予約した方のお名前を探す際に、検索機能があるとよかったなと思います。紙だとパッパッとめくりながらすぐ探せるのですが、やはり画面上ではそこの検索スピードが落ちてしまいます。そこら辺のUIというのは、今後の期待になってくるのかなと。
あと、ガラケーしか持ってない、という人がやはり一定数いらっしゃいまして……。今回については、事前に電話をくださっている方はこちらで代わりに記録をしておいて、当日は別の窓口であらかじめ準備しておいた紙をお渡しする形で対応しました。まぁここはteketさんではなく、ドコモさんがどれだけスマホを普及させられるかの問題になると思いますが。(笑)
― teketの導入によって、事前の管理業務の作業人員コストは削減ができたと思われますが、当日の作業人員コスト的なところはいかがでしたか。
広瀬:いや、実は正直なところ、個人情報の収集を除けば、紙をもらってそのまま通すという従来のやり方のほうが人手はかからないですね。混雑が予想される時間帯は受付ゲートの人員を増やすなど対策はしていたのですが、スマホをかざしてワンタッチしなきゃいけないというのは、滞ってしまう場面がどうしてもあって……。
坪西:お客さん自身がもっと自分で上手く対応できる工夫や仕組みが必要かもしれませんね。当日は読み取り用のiPadと一緒に図説も置いていたのですが、不慣れなせいもあり、どこに自分のスマホをかざせばいいかがわからない、というお客さんがやはり一定数はいらっしゃいました。
例えばセルフレジのように、コードを読み取ったらピロンと音がなるとか。この辺はQRコードを利用したサービス全体に共通する課題ではないかと考えています。
オンライン化で「できなくなること」はほとんど無い、「できること」はどんどん増える
― 今回teketをご利用された経験を踏まえ、主にオンライン化によって「今後こういったこともできるようになるのではないか」「従来のやり方が、こう変わっていくのではないか」などの予測があれば、ぜひお聞かせください。
坪西:実は感謝祭では一時期「お笑いライブは人気があるので、屋外ステージを設置しよう」という動きがあったんですよ。もちろん諸々のコロナ対策の問題があるので見送られたのですが、屋外イベントでもteketさんのシステムが使えるようになったらいいなと思いました。
具体的にいうと、誰がどこにいなければいけないかの管理について、座席の指定ではなく、ざっくりとエリアで管理ができるような仕組みですね。AさんとBさんはこの辺に、CさんとDさんはあの辺に、ぐらいのイメージで管理ができれば、フェスなどの屋外イベントもやりやすくなるんじゃないかなと。コロナの状況がもう少し落ち着けば、ニーズとしては間違いなくでてくる領域ではないでしょうか。
広瀬:先ほども少し話に出ましたが、テレビ業界って実はびっくりするぐらいアナログなんですよ。FAXもいまだ現役バリバリです。だからこそ、電子化による作業やコストの効率化というのは絶対に必要になるんです。
そもそも、オンライン化を取り入れることによって「できること」はどんどん増えていく一方、「できなくなること」はほとんどないと思っています。逆に言えば、コンテンツもイベントも「やったもん勝ち」になるのではないでしょうか。生き残るのは結局、今の流れを上手く取り入れ、アイデアを実現させたところになっていくでしょう。
― アーティスト側では、ライブ配信を中心にオンラインサービスの活用は進んでいるようにも見えますが、そのあたりはいかがでしょうか。
島村:オンラインライブの開催件数は、ここ一年でかなり増えたと思います。ただ、その大半は「リアルでやっていたイベントをそのままライブ配信します」というもので、一回見るともう満足、となってしまうケースが非常に多い。そのため2回目・3回目にお客さんが続かないということが、実際にアーティスト業界では課題になっているそうです。
それに対し、放送業界の方たちは「どうお客さんにコンテンツを見せていくか」という点を、そもそもの大きな強みとしてお持ちです。だからこの先は、アーティストとお互いの強みを活かして企画をつくっていくなどの動きが活発化していくといいなと考えています。
コロナ前とコロナ後は、全く違う世界になるだろうからこそ
― それでは最後に皆さんに質問です。コロナ影響は今後どうなるか、そして各々の分野では今後どういった形での取り組みが必要になるとお考えでしょうか。
坪西:正直どこの放送局も、経営の根幹に関わるレベルで大きな影響を受けています。インターネットなど新しい媒体の台頭によって、もともと逼迫していた部分があったところに、今回のコロナ影響ですからね。特に地方局は、非常に強い危機感を持っていますよ。
私が8月にビジネス戦略部に異動となったのも、会社がそういう放送以外の分野で活路を見出そうとしているのだろうなぁと。私自身、本当にまだまだ手探りの状態ではあるのですが、今回のteketさんとの取り組みなどを通じて、少しずつでもその可能性を広げていければと考えています。
コロナによる業界全体へのマイナス影響を打開するようなことはできなくとも、せめてウチの局だけでも生き残る手立てを見つけたい、というのが正直なところですかね。ほんと、とにかく稼がねば、という状況にあります。
広瀬:「コロナにどう対応していくか」については、「どうやれば既存のもの・見せ方を置き換えられるか」という発想しかできていないのが現状です。でも、本当は「逆にこういう状況に対し、新しくどんな価値をつけるか」みたいな発想が、放送局には求められていると思うんですね。
正直いうと僕自身はコロナが落ち着くとは全く思っていません。コロナのあとは「元に戻る」のではなく「別のものになる」と思っています。
実際コンテンツに限らず、働き方や社会の在り方などの諸々が凄いスピードで変化を遂げています。コロナをきっかけに、良くも悪くもこれまでの「当たり前」が見直されることになったのは間違いないなと。
だから放送局に勤める人間としては、「放送局が今後どういう進化を遂げなければいけないか」という積年の課題について、いよいよ真剣に向かい合わなければいけない時期が訪れたんだと感じています。
島村:今回こうやってじっくりお話を伺わせていただいた中で、お二人は「テレビ」ではなく「テレビを使った新しい何か」に挑戦されているということがよくわかりました。teketとしても、現在のチケットサービスの形に限らず、アフターコロナにおける新しい価値を作っていくようなところで、ぜひ何かご一緒できるといいなと思いました。